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ゆったりと腰を下ろした。
疲労がたまりにたまり勢い良く座りたいとも思った、しかしそんな事をしては腰を痛めかねない。
コンクリートのワンルーム、小窓が一つ、風呂無し、トイレしきり無し。
僕の家はそこにある。
家具は机を標準装備、逆に言えばそれしかない。その机に乗ったカチカチのパンを頬張る。元々歯が折れるのではないかと感じるほどに硬い乾パンは日がたった臭いがし、倍硬く感じた。
たった一つの背伸びをして小窓を覗いた。勿論ガラスなど無い。そこから吹く風は酷く湿気たこの家をより一層辛く感じさせた。
だからこの家を出る。そんな事を言ってる奴もいたけどその後ふと消えていた。
僕も隣の人もこのジメジメとして陰湿な空間を望んでる訳じゃない。
「軍人」と銘打たれた奴隷はただそれに従うしかない。昔は饒舌などといわれたこともあった、が、今じゃ殆ど話さない。話すことは禁じられているし話すことに価値を見出せないから。
週に一回ある休暇も月に一回のふわふわパンのほうがよっぽどマシだ。きっとこのての人間にこれだけの待遇があるのは余程良いところに飼われているのだから喜ぶべきなのだろうな。
そういえば明日は休暇だ。それも月に一回の外出が許される。
やっぱりときめかないから何時ものように寝ていよう。そう思った。
「パーレル、来い。」ん、新入りか。
そう思うと僕の家の戸が開いた。
十代後半と思われる凛々しい青年が同じ個室へ入ってきた。
赤い軍服を着た警備が一瞬こちらを睨んで鍵を閉めた。
「パーレルさん。はじめまして。」
そいつはそっぽを向いて指で遊び始めた。
何かの規則に沿っているような動きであったが何をしているのかも分らない。
そして何よりとても不愉快な奴だと思った。
「アンタもアームヘッドに乗りたくて?」
俺は背筋が凍るような恐怖に襲われた。
アンタと呼ばれた事に関しての不快感など感じないほどの。
こいつは今確かにアームヘッドという言葉を口にした。
「悪いけど、ココじゃそのての話しは禁句だよ。」
「俺はアームヘッドに乗る。そして最強のパイロットになるんだよ。」
「そう・・・良かったね。アームヘッドに乗れるよ、ここなら。」
GI-0001-53通称フォイボス。
アプルーエ国家をリズ連邦の脅威から救った最強のアームヘッド。
時がたつにつれそれは弱くなっていく、いや、他が強くなる。
いつしか帝国軍により植民地から解放されたアプルーエ国家の数多くの国で量産機となった。
所詮は捨て駒に与えられるもの。
腹部レーザーを使用すれば機体もろとも吹っ飛ぶ。
それで自ら死んだものも少なくない。それほどの苦痛を味わいながら俺達は生きる。
上級階級の中にもココから努力をして這い上がったものも居るが努力ではない、チャンスが必要なのだ。
角との適正・・・・それが無いとどれだけ優れていても昇格の限界がある。
僕たちにそのチャンスは来ないだろう、ココにはそんな人間しか居ない。
「毎週月曜日は適性検査だからその時気付きなよ。上がれるものはほんの一握りだから。」
「俺はそこで上がってやる。」
今日は火曜日。丁度1週間・・・。気付くには十分な時間だろう。
だけど何故かこの人はやりそうな気がする。
「その為には操縦技術が必要だからさ、頑張ってね。」
「アンタも頑張ろうな。」
一瞬いらっとした。見下されているような気がしたから。
ただ、コレは彼なりの応援なのかもしれない。そういうのは苦手そうだから。そう思った。
少し打ち解けた気がした。

to be continued…
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2008.07.05 
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